No.1(2005/8/2)

コーラスの楽しさ
指揮者 木村茂雄


 ホームページを使わさせていただき、私が考えているコーラスへの想いを毎回少ずつ書いていきたいと思います。今回は、一回目です。
ア・カペラ合唱についてふれてみます。読んでください。

 皆さんはだんだんに上達してこられまして、次への課題は ア・カペラへの挑戦と言うことになりますでしょうか。

 すでに何度かお話ししていますように、ア・カペラとは教会風合唱を意味しています。それも14,15世紀のルネサンス時代の合唱曲を想像していただくとイメージが鮮明になってくるかと思います。高い天上、広い石造りの空間の中、日本では考えられないほどの残響がある礼拝堂で歌われていた無伴奏合唱を言います。
このような中でのルネサンス合唱曲は、各声部が独立して横に流れていきます。そこに偶然のように縦に和音が響きます。Stained glassを通して入ってくる光と相まって、神の言葉は厳かに人々の心の中に入っていきます。
古いカトリックの教会の中での音楽は、人間の声が尊ばれ、楽器を使った音楽は人の心を汚すとして認められていなかったこともあって、教会でのア・カペラ合唱は重きを置かれていました。

 さて、私たちがまず初めに取り組みますア・カペラ合唱曲は、江戸時代に子どもたちが遊びのときに歌っていた歌や子守歌(これを童の歌、童歌(わらべうた)と言っています。よく 、童謡を童歌と間違う人がいますが、全く違うものです。)を西洋音楽の技法を借りて合唱曲として編曲したものです。言ってみればア・カペラ風童歌です。ルネサンスの合唱様式とは自ずと違った特徴を持っています。このことを踏まえて、歌うときに気を使ってほしいことがあります。

・ 西洋の合唱曲は、完全5度とか長3度の響きが大切ですが、童歌のア・カペラ合唱は、完全4度の響きが大切です。難しいな!…なんて言わないでください。体験すれば直ぐに慣れますよ。

・ 童歌がもっている汚れなく明るいリズムを忘れないようにしましょう。老人の童歌にならないようにお願いします。

 元々が、合唱するという習慣の無い日本のメロディーを西洋音楽をまねて合唱にするわけですから、編曲者は楽しさや、おもしろさを加味して作っています。掛け合いのおもしろさ、早口言葉のようなおもしろさ、西洋音楽には無い4度の響き(現代は別ですが)、いろいろなことを考えています。一方、子守歌には、江戸時代の庶民の生活が表現されています。

 合唱をすると言うことは、心を成長させることにつながるように思います。自己表現を広げていくことのできる貴重な場所だと思うのです。日常生活の中ではできないことを合唱の世界の中で経験してみる、自分でない自分と向き合ってみる、そんな場所が合唱です。楽しく練習しましょう。